祇園祭のちまき
本日、台風直撃のなか、祇園祭の前祭山鉾巡行が決行されました。
どんな天候だろうと
「先祖が続けてきた祭をうちらが途絶えさすなんてありえへん」
という町衆の心意気が伝わってきました。
関わられた皆様、お疲れさまでした。
だいたいこの時期はまだ梅雨があけておらず
宵山や巡行のときに雨が降るのはいつものこと。
とくにここ数年は祭の見物中にゲリラ豪雨に見舞われて
せっかくの浴衣姿も上から下までぬれねずみ、というのもよくある話です。
だけど、台風直撃というのは記憶にない。
地球の環境が本当に変わってしまって、日本の四季も変わってしまうのだなあ…とせつない気持ちになります。
去年、およそ50年ぶりに後祭が復活したことで
今まで一度にやっていた巡行がエリアに別れて17日と24日の2回になりました。
したがって、山鉾が建つのも宵山も屏風祭も前後2回。
とはいえ「巡行=17日」という固定観念が消えず、なかなか慣れません。
京都では「巡行が終わったし、梅雨があけるなあ……」とよく言い合うのですが
後祭のときはさすがに梅雨も終わっていますね。
でもまあ、前祭と後祭の2回あるのが本来の姿で
わたしが異例の50年に慣れ親しんでいただけの話です。
今年は仕事が忙しくて無理かなあ、と思っていたのですが
15日の夜に少しだけ見ることができました。
わたしは20代のころ鉾町に勤めていたので、祇園祭もやはりその辺りを歩くのが好きです。
場所でいうと、室町通や新町通の四条より北側。
年によってまちまちですが、大好きな月鉾、知り合いのいる菊水鉾、鯉山あたりでちまきを買います。
今年も混雑する四条通を避けて、御池通から新町通に入ったところ
なんと衝撃!真っ暗ではありませんか。
そう、このへんは去年から後祭になったのです。
脳内イメージでは山鉾の提灯が転々と並んでる賑やかないつもの新町通が見えていたので
愕然としてしまいました。
去年は初めてなので気をつけてたんですけど
今年はすっかり忘れて、いつも通りに行動してたんですよねえ……。
とりあえず賑やかな場所まで戻り
気持ちを落ち着かせるためたこ焼きを食べてから、函谷鉾、月鉾、菊水鉾を見てまわりました。
そして、山伏山の会所でくぐると厄除けになるという茅(ち)の輪をくぐってお参りし、ちまきを買いました。
祇園祭のちまきは鉾によってそれぞれ個性があるんです。
山伏山のものは、小さな茅の輪とお守りがついていて
小さな金襴の布地も巻いてありました。
シンプルなのも良いけれど、この盛りだくさんな感じは嬉しいですね。
紙袋のデザインもオシャレ。
同じデザインのてぬぐいも素敵でした。
山伏山は、浄蔵貴所という偉いお坊様が大峰山に修行に入られた姿をご神体にしているそうです。
この浄蔵さん
傾いた八坂の塔を祈祷して元に戻したり(!)
亡くなってしまった実父を祈祷して生き返らせたり(!!)
したのだそう。
「霊力どんだけ〜!!!」(←古い)という感じですね。
会所のおっちゃんが自信たっぷりに
「どんな厄もバッチリ払ってくれはるで〜」
と太鼓判を押してくれはったのも頷けます。
よっしゃ、今年は浄蔵さんにお任せしましょ。
いつも新町通を通っていたので
山伏山を訪れるのは実は初めて。
祇園祭が前後に別れたおかげで、新しい出会いや発見もあるんだなあ、としみじみしています。